のぞむ
「今日はさすけに犬の七不思議について聞いてみるよ。」
博士
「そうか。では、さすけさん、よろしく。」
さすけ
「なんですか?ぼくに答えられることですか?」
のぞむ
「じゃあ、その一。朝ごはんを食べないことがあるらしいけど、お腹が減ってないの?」
さすけ
「そんな、ぼくのプライベートなことから? なんか、寝起きはうまく口が動かないんです。堅いおやつとか食べると食べられるようになるけど、めんどくさくなっちゃうこともあるんで、そんなときは食べなかったりします。」
博士
「ふむ、朝ごはんはちゃんと食べたほうがよいぞ。食べなくてもいい習慣がついてしまうと、本当に食べたくなくなってしまうこともあるからの。嫌いなフードなのかな?」
さすけ
「夜は気にならないんだけど、朝は特にちっちゃい堅いやつが苦手です。」
のぞむ
「結局理由はよく分からないんだね。アンニュイな季節もあるらしいしね。
じゃあ、そのニ。ご飯を食べないとき、器を鼻で押したり、すごいときは水の器の下に敷いてあるタオルを抜き取って水に浸した上でご飯の器に被せるらしいけど、どんな意味があるの?」
さすけ
「ずいぶんぼく限定の質問ですね。他の犬がするかは知らないけど、うまく食べられないことをアピールしてるのかな?ふざけてる訳じゃないんですけど、そのまま置いておくのも気になっちゃうんで、何かしなくちゃってこと何でしょうか…。」
のぞむ
「これもよく分からない、と。けど、水をこぼさずにタオルを抜く技は、お留守番の時にしかやらないからどうやってるか見たいって、おっさんが言ってたよ。」
博士
「凄い芸当じゃな。マチャアキのテーブルクロス芸のようじゃ。自在に出来ればテレビに出られるぞい。」
のぞむ
「一度目の前でやってみてよ。テレビと言えば、さすけはテレビっ子なんだってね。じゃ、それその三。」
さすけ
「テレビってやつは、他の犬の声がしたり、犬が動いてたりするんです。けど、匂いはしないし、ぼくが飛び寄っても寄って来てくれないし、突然いなくなっちゃうんです。」
博士
「音(声)と動きがきになるんじゃな。テレビをまるで気にしないワンコもいるというから、さすけは好奇心が強いんじゃな。好きな番組はあるのかい?」
さすけ
「犬の出る番組は好きです。和風総本家の豆助が好きなんですけど、すぐにいなくなっちゃうから、いつも遊べないんです。
それと、ボールが動いてるやつも好きです。野球はちっちゃくてよく分からないんで、サッカーのほうが好きです。あと、ピタゴラスイッチっていう番組の音楽が鳴ると反応してしまいます。」
のぞむ
「ピタゴラ装置はボールがよく動いてるからね。さすけは動くものが好きなんだね。
じゃ、その四。ウンチをするときにクルクルクルクルクルクルクルクル回るのは?」
さすけ
「もっと回りますけど。回ってるうちにいい感じになってくるんですよ。ここだ!って時にできると気持ちいいんです。」
のぞむ
「散々回った挙げ句、全然違う場所で急にすることもあるよね。」
さすけ
「そこはよく分かりません。タイミングが合わないことはあるけど、合わせたいとは考えてますよ。」
博士
「いきなりする子もおるからな。それもさすけの性格なのかもしれんな。」
のぞむ
「じゃあ、その五。手をカミカミするのは? イライラしてるのかな?」
さすけ
「手が痒いときもあるし、イライラしてるときもあるし、なんか夢中になっちゃうときもあります。やり過ぎちゃうと痛くなっちゃうんですけど、止められないときが多いです。」
博士
「手持ちぶさたになってしまうと、クセというのは出てしまうからな。他の気晴らしがうまく出来るといいのじゃが。」
のぞむ
「おもちゃも壊すまで遊んじゃうからね。執着心が強いのかな?」
さすけ
「最近は壊しませんよ。あの頃はまだ子どもでした。」
のぞむ
「そうか、さすけも人で言うといい年だからね。
じゃ、その六。あくびは眠いときと緊張してるときも出るの?」
さすけ
「そうですね。散歩で行きたくない方向へ向かいそうになると、出たりします。眠いのはいつもですけど、違うあくびもありますね。」
のぞむ
「なるほど。じゃ、最後だね。その七。」
博士
「のぞむくん、飽きてきておらんか?」
のぞむ
「…! そんなことないよ!最後は、さすけが目やにの臭いに執着するのは?です!」
博士
「なんか投げやりだな。じゃが、確かにさすけは自分の目やにを取ってもらったときもそうじゃし、他のワンコの匂いを嗅ぐときも、目のあたりを嗅ぎにいくな。そのせいで相手に嫌がられたりもするがな。」
のぞむ
「そうそう。他の子はおしりの匂いを嗅ぎにくるのに、さすけは目にいくよね。そのくせ、自分の匂いを嗅がれるのは嫌がるよね。」
さすけ
「えっ、目やにの匂いって気になりません?おしりとか自分の見えないところを嗅がれるのは嫌ですよ。」
のぞむ
「確かに、さすけはケツを触られるのを嫌うね。でも他の子も目を嗅がれるのは嫌がってるよ。目が悪くなってる老犬なんかはビックリしてよく怒られるじゃない。」
さすけ
「何でだろう?他の子は何で気にならないんだろう?」
のぞむ
「結局分からない、と。犬の不思議というよりさすけの不思議になっちゃったな。」
さすけ
「ええ~!! ぼくのせいですか~?」
博士
「さすけのせいではないぞい。さすけ特有のものというのは、言い換えれば飼い主特有のものだな。飼い主との生活の中で育まれた、いわば絆なのかもしれんぞ。」
のぞむ
「おっ、博士。いいこと言うじゃない。けど、飼い主自身がよくわかってないみたいだよ。」
さすけ
「ぼくもパパさん達が何を考えてるか分からないけど、ずっと一緒に居たいと思ってますよ。」
博士
「うむ、それこそが信頼関係じゃし、家族ということじゃな。所詮人と犬、全てがわかりあえる訳ではない。それを踏まえた上で一緒に居られる、お互いを必要としている、これこそがよい家族の条件じゃな。」
のぞむ
「でもそれじゃ、せっかくさすけがしゃべれる意味がないじゃないか。博士の発明でしょ。」
さすけ
「まあまあ、のぞむくん。博士のおかげで、ぼく楽しいですよ。」
博士
「さすけは優しいのう。飼い主の人柄が出ているんじゃろうな。」
のぞむ
「(博士、それ誰かに言わされてない?)」
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