のぞむ
「博士~、こんにちは~。」
さすけ
「(…トコトコトコ)」
博士
「やぁ、のぞむくん。おや、さすけも一緒かい。久しぶりじゃ。」
さすけ
「こんにちは、はかせ。あ、しゃべれたよ。」
博士
「うむ。わしの開発した装置により、このエリアではさすけの思ったことが言葉として聞くことが出来る。
詳しい説明は省略するが、さすけもこちらの言葉が分かるようになる。
ただし、飼い主からの様々な情報提供を必要とするため、さすけの犬としての言葉や表現でなく、多少擬人化されたものになる。じゃから、さすけの本当の本心、というと変じゃが、とは異なる場合もある。」
のぞむ
「要は都合のいいように会話は出来るけど、さすけの名誉のために全て本当とは限らないよ、という逃げを含ませてるってことだね。」
博士
「…見も蓋もないこと言うな。犬の真相心理は奥深くて難しいということにしておかんか。なぁ、さすけ」
さすけ
「むずかしいことはわかりません。」
のぞむ
「さすけはおっさんに飼われて幸せかい?」
さすけ
「しあわせってよくわからないけど、ぼくのいばしょがあって、ごはんがたべられて、おさんぽにもいけて、ぱぱさんやままさんがかえってくるとうれしいです。」
博士
「可愛がってもらっているのは、さすけを見れば明らかじゃな。犬としては分からんが、飼い犬としては満足出来る生活なんじゃな。」
さすけ
「けど、ぱぱさんたちはぼくをおいてでかけちゃうんです。ぼーっとしたり、ねてたりするのはすきだけど、さみしいし、いえでもぼくがよくわかんないことをしてたりするから、つまんなかったりすることもあります。」
のぞむ
「おっさんも嫁っちょも仕事してるしなぁ。ぼくと行く散歩は楽しい?」
さすけ
「のぞむくんはむりにひっぱったりしないからおさんぽしやすいです。でも、ぱぱさんままさんふたりいるさんぽがいちばんうきうきするんです。なんでだろう?」
博士
「やはり飼い主だと分かるんじゃな。飼い主に従うことは、犬としての本能を満たすのじゃな。」
さすけ
「でもぱぱさんはむりやりだっこしたり、ままさんもあさのさんぽのあといえにいれてくれなかったり、いじわるもされますよ。ふたりがけんかしたりいらいらしてると、ぼくもうこわくってすみっこににげちゃうんです。」
のぞむ
「おっさんも仕事のこととかイライラをすぐ出すからなぁ。さすけはお見通しだね。それでもぼくよりも好かれてるなんて悔しいなぁ。」
博士
「さすけは神経質なところがあるのかの。きっと飼い主もそんなところがあるのかもしれん。
さすけは、他のワンコ友達はいるのかな?」
さすけ
「はい。みにちゅあしゅなうざーのこころちゃんや、きゃばりあのれんちゃんとはなかよしです。ぼくといっしょでがうがうしないので。らぶらどーるのさつきちゃんやぼーだーこりーのくぅちゃんは、ぼくよりとししたのくせにはげしくくるのでときどきにがてです。さいきん、ぶるてりあっていうふしぎなかおのこともなかよくなりました。」
博士
「ほうほう。なかなか社会性があってよろしい。ケンカしたりはしないのかい?」
さすけ
「よくわからないけど、うーっていっちゃうこはたまにいます。あいてもいってきそうだったり、おとなになってからそういうこともふえたとおもいます。」
のぞむ
「さすけはよく女の子に間違えられるんだよね。女の子のお友達も多いしね。でも去勢したのに足あげておしっこしたりするけど、オスの部分も残ってるのかな?」
さすけ
「………」
博士
「無駄吠えもせんな。ワンワン吠えるときと、キャンキャン鳴くときは気持ちが違うのかい?」
さすけ
「………」
のぞむ
「あれ?さすけがしゃべれなくなっちゃったよ。」
博士
「さすけ自身もよく分からないことが多くて、ちょっとオーバーヒートしてしまったのかな?」
のぞむ
「博士、もっとシステムを改良してよ。さすけがひらがなしかしゃべれないのも、つば九郎のブログみたいで読みにくいよ。」
さすけ
「…なんだかつかれちゃいました。はかせとのぞむくんとおはなしするのはたのしいのに…。」
博士
「すまんな、さすけ。さすけへの負担も大きいらしいな。もっとたくさんおしゃべりできるように改良するからな。」
さすけ
「(ニコッ)」
のぞむ
「さすけが笑ったよ。装置がなくても人の言葉はやっぱり伝わってるんだね。」
博士
「うむ。心と心のつながりはわしの発明なんかよりよっぽど偉大じゃ。わしも少しでも近づけるよう精進せねばな。」
のぞむ
「じゃあ、さすけ。お家へ帰ろう!」
さすけ
「(ペタン…ヘッ)」
のぞむ
「あれ?帰りたくないの?散歩もいっぱい歩いたし、疲れてるんじゃないのかな。今度聞いてみよう。じゃあね、博士。」
博士
「さすけ、本格的に動きたくなくなっとるぞ…」
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