posted on 2013年6月21日金曜日

働き過ぎの日本人

のぞむ
「博士、こんにちは。あ、犬の装置、いじってるの?」


博士
「やぁ、のぞむくん。うむ、さすけに負担をかけずによりナチュラルに会話できるようになってきたぞ。どうじゃ?さすけ。」


さすけ
「うん。ちょっといい感じです。それより博士、お疲れぎみですか?」


博士
「おぉさすけ。心配してくれるのか、ありがとう。昨日の夜からちょっと根を詰めすぎたかの。」


のぞむ
「博士、年なんだから無理しない!まったくどうして日本人ってのはこうも働くことが好きなのかな?」


さすけ
「ぼくは日本犬だけどのんびりするのが好きです。」


のぞむ
「おっさんもいつも言ってるよ。みんながみんな目一杯働きたいわけじゃないのに、そうしないといけない仕組みになっちゃってるって。」


博士
「確かに。わしのように好きでやっているものは構わんが、企業で働く人は生活のため、会社のため、社会のためなど働く理由はたくさんあるし、それぞれ大事に思う比率は人それぞれじゃ。なのに、特に日本の会社は一律に同じ考えを強要する傾向があるかもしれんな。」


のぞむ
「残業をしないといけない、みたいな雰囲気が当たり前のようにあるけど、そもそも残業しないで終わるような業務内容に始めからなっていないとかあるよね。」


さすけ
「残業が多いとパパさんが帰ってくるのが遅いし、疲れてイライラすることもあるのでイヤです。」


博士
「残業代も含めて月収年収と考えているところもあるからな。もっとも、サービス残業なんてのもいまだにあるし、それこそ業務内容によっては拘束時間と稼働時間が一致しないものも確かにあったりはする。」


のぞむ
「休みの日に電話かかってきたり、緊急で行かなきゃいけない仕事とかもあるよねぇ。夜勤の仕事だってたくさんあるし。」


さすけ
「夜は寝るもんです。ぼくは昼も寝てますけど。」


博士
「24時間365日、誰かがどこかで働かなければならない、それは仕方のないことかもしれん。働くことを美徳とする日本人にとっては、頑張る場面がたくさんある状況にはなっているな。」


のぞむ
「だからこそ、ちゃんと決まりを作って守らないといけないんじゃない?

  あと、どれだけ働いてでも稼ぎたい人と、時間でちゃんと働きたい人と、区別をちゃんとしてもいいんじゃないかな。労働基準法とかあるけど、基準となる考え方がいろいろあるんだから、それに合わせてもいいと思うんだけど。」


博士
「ふむ。働き方がこれだけ増えてきているのだからな。バリバリ働く人が良い、時間で帰る人がダメ、ではなくそれぞれが共存できる職場作りが必要じゃな。」


のぞむ
「そうだね。おっさんがこの前すぐに辞めちゃったところは、定時で絶対に終わらない仕組みだったんだって。定時で終わるのは出荷だけで、そのあと毎日棚卸して、翌日のいろんな準備したりして、毎日早くて夜9時で繁忙期でもないのに12時前後まで普通にやってたんだって。しかも、入ってすぐの出来ることが少ない人も次になにやるか分からないままずっと残されてたんだって。」


さすけ
「パパさん大変そうでした。仕事を教えてくれる人も態度が悪いって、毎日可哀想でした。」


博士
「…具体的な話をするときりがないのだが、本来ならそういう環境であれば、早番遅番制にして人を増やすべきなのじゃが、さっきも言ったとおり残業も含めて収入を考えている人が多いことや、仕組みでなく人に頼ったやり方をしているので、人を増やして教え育てるよりも自分でやってしまえ、という風潮があるのじゃな。

  そのくせ、人に頼る割には人の評価がきちんとされていない等の不満や問題は常にあったりするもんじゃ。」


のぞむ
「偉くなると仕事が増えるのも仕方ない気もするけど、なんかおかしいよね。仕事ができる分、単価が上がるなら分かるけど、やることが増えて給料が増えるのは当たり前だもんね。」


博士
「中間管理職などはまさにそれだな。だか、それを経てより責任のある仕事、役員クラスにたどり着くわけじゃから、過程としてはありなのかもしれん。」


のぞむ
「でも、どんなに頑張っても中間管理職以上になれない職場だってあるし、最初から偉くなることを目指していない人だっているのにね。

  みんながみんな偉くなりたいと思ってる前提なのがちょっと嫌だなぁ。」


さすけ
「ぼくは偉くなくても家族みんなで楽しく過ごせればいいです。」


博士
「君は犬じゃしな。

  まぁ、誰しもお金が欲しいかと聞けば欲しいと答えるように、お金を稼ぐためには偉くなることを望むという考えは不自然ではない。ただ、何度も言うが、偉くないからダメとするのはいかんな。特にこれからさらに価値観が多様化する時代においては、様々な働き方があってしかるべきなんじゃな。」


のぞむ
「みんなが好きな仕事をできればいいんだろうけど、思い通りにはならないしね。だからもっといろんなルールがあってもいいと思うよ。」


博士
「メジャーリーグのブルワーズの青木選手は第2子の誕生予定の前後で立ち会うための産休を取るそうじゃな。」


のぞむ
「そうそう。取る取らないはその人次第だけど、そういう制度があって、認められてる雰囲気は大事だよね。日本なんか有給休暇ですら取るのがためらわれる雰囲気だもんね。」


博士
「会社のために尽くすのが美徳とされるのも、時にはよいがそうでない選択肢もあって欲しいもんじゃな。

  その辺りは会社のあり方や経営者の考え方が大きく関わっているだろうから、なかなか簡単には変わらんのじゃろうが、『みんなが幸せになる』ということが目標ならば、検討する価値はあるじゃろうな。」


のぞむ
「博士のように自分ひとりで好きなことを好きなように没頭できる仕事なんてそうないからねぇ。

  そういえば、博士はどこから収入を得ているの?」


博士
「………それは内緒じゃ。」

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