posted on 2013年6月3日月曜日

キラキラネームって・・・

のぞむ
「こんにちはー、博士!」


博士
「おお、のぞむくん。こんにちは。今日はさすけじゃなくて、女子とお散歩かな?それも二人も。のぞむくんもすみにおけんのう。」


のぞむ
「違うよ、そんなんじゃないよ。登場人物を増やす都合で無理矢理付いてきたんだよ。
  美羅偉(みらい)ちゃんと、昭子(しょうこ)ちゃんだよ。」


みらい・しょうこ
「こんにちは、博士。」


博士
「こんにちは。美羅偉ちゃんと、昭子ちゃんか。最近の子はいろんな名前の子がおるな。希望くんだって最初はどう読んだらいいか戸惑ったもんじゃい。美羅偉ちゃんは普通に読めそうじゃが、昭子ちゃんは『しょうこ』なのか『あきこ』なのか間違われることもあるじゃろ。」


しょうこ
「わたしは昭和の昭でしょうこです。」


博士
「なるほど、分かりやすい自己紹介じゃな。最初は『子』という字を使う子が減っておるからな。逆に印象に残るわい。」


のぞむ
「みらいちゃんは今流行りのキラキラネームなんだよ!」


みらい
「ウッサイわね、のぞむ。あんただって似たようなもんじゃない。」


のぞむ
「ぼくはそうでもないほうだよ。でも美しくて偉いなんて、みらいちゃんにピッタリの名前じゃない。」


みらい「そうよ。あたしは美しく偉くなる未来が待っているのよ。あたしは自分の名前は好きよ。けど、キラキラネームとか言われんのがヤなのよ。」


博士
「そうなのか。今どき変わった名前は多いが、ちょっといきすぎたような名前もあるな。無理矢理な当て字だったり、別の意味を読みに当てたりな。

  今じゃキラキラネームなんて言い方をしているが、元々はDQNネームなんて呼ばれていたな。」


しょうこ
「DQNネームって何ですか?」


博士
「うむ、非常識な言動をする人達のことを指すネットの用語から来ている。『よろしく』を『夜露死苦』とか書いちゃうような輩のことをDQN(ドキュン)と言っておったのじゃ。当時そうした人達を特集していたテレビ番組があって、それが元と言われている。」


のぞむ
「ねぇ、『羅』は?」


みらい
「は?」


のぞむ
「美しく、偉く、で『羅』は何?」


みらい
「…知らないわよ。」


のぞむ
「『羅刹(らせつ)』の『羅』?」


みらい
「…何?ゲームの話?」


のぞむ
「違うよ!男塾だよ!北斗の拳でも出たけど、やっぱ羅刹といえば魁!!男塾でしょ。だって男塾死天王だぜ!」


みらい
「知んないわよ、バカ!」


しょうこ
「この世で貫けぬ物は無い、鋼鉄の指を持つ男、ね。CP9の指銃とどっちが強いかしらね。」


博士
「しょうこちゃんは昭和のマンガにも精通しておるのか。『羅』というのは、薄い絹織物のことじゃ。『紗』といううすぎぬの元になっているものらしいの。」


みらい
「ほら、なんかその、高級感があるじゃない!そもそもあんたは人の名前をバカにしすぎなのよ。そういうのがイヤなのよ!」


のぞむ
「ごめんね。そんなつもりじゃなかったんだよ。」


博士
「そうじゃ、人の名前をバカにしてはいかん。親が与えてくれた最初にして一生ものの贈り物じゃ。我が子の一生の幸せを願って付けるものが、名前なのじゃ。」


のぞむ
「じゃあどうしてDQNな名前を付ける親がいるの?」


博士
「最初は変わった名前を付けて個性を持たせたい、という想いじゃったんじゃろうな。それが増えてきて、もっと変わった名前を、とエスカレートしてしまったのかもしれん。本来はカタカナで書く横文字に無理矢理漢字を当ててみたり、目立つからというだけで絶対に他人が付けないような名前を選んだり、もはやゲームのキャラクターに名前を付ける感覚になってしまっておるな。

 お父さん、お母さんがどんな想いでその名を付けたか、名前自体は平凡でも、そのときの想いは必ずあるはずじゃ。キラキラネームには、その想いが感じられんな。」


みらい
「そうよ、私の名前はパパとママがあたしのそれこそ未来を願って付けてくれた素敵な名前なのよ!キラキラとか言えば聞こえが良くなるとでも思ってんの!バカにしてるだけじゃない!」


しょうこ
「本当にキラキラしてかわいい名前もあったりするけどね。それと、歴史上の人とか芸能人と同じ名前もからかわれたりするわよね。わたしは佐井田昭子(さいだしょうこ)だけど、相田翔子とかはいだしょうことか言われたりするわ。どうでもいいんで気にしないけど。」


みらい
「そうね。気にしないのが一番。けど、言うのが恥ずかしいって言うか、そういう名前の子はかわいそうよね。イジメられたりしそう。それに自分の名前に胸を張れないって、自信までなくなりそう。」


博士
「イジメに負けない強い子に、とか屁理屈を言う親もいるが、初対面から変な目で見られる孤独感に耐えうる強さなんて、必要ないんじゃないかの。親を恨みこそすれ、愛情なんて感じられないんじゃろ。実際に、変わった名前を付けられた子が、親を殺してしまう事件もあったそうじゃからな。

 あまりに変わった名前で役所が止めるケースもあるが、どれが止めるべきかの線引きも難しいし、親がいいと言っている以上、介入しづらい現状なのは確かじゃ。

 キラキラネームなどという流行っぽい名前でごまかさずに、そうした不幸な事例も知った上で、親としての願いを堂々と話し合える世論を作らんとな。」


のぞむ
「そうだね。みらいちゃん、キラキラネームとか言ったりして本当にごめんね。」


みらい
「いいのよ、もう。のぞむは本当の意味でキラキラしたいい名前じゃない。上尾希望(あげおのぞむ)なんて、上昇志向の塊みたいな名前よ。」


のぞむ
「大野美羅偉(おおのみらい)もステキだね。さすがお父さんが『建設王』だよね。」


博士
「ふむふむ、お互いの名前を称え合う、美しき姿じゃな。

 ちなみに、そうした名前で極端な不都合がある場合、改名も認められておる。子ども自身が申し立てることも出来るそうじゃ。名前は一生ものじゃと言ったが、これからの一生を考えて改名する、というのもこの時代、ありなのかもしれんな。また、戸籍上の表記は改名せんといかんが、漢字の読み方なら住民票レベルで簡単に変えられるそうじゃ。元々がおかしな読ませ方のものは、こうした回避も出来る。『通名』として何年間か使えば、改名の申請も通りやすくなるらしいぞ。

 まぁ改名出来るから、というのはあくまで救済措置で、本来はさっき言ったとおり命の誕生に対して親の感謝から来る願い、というのが一番じゃが。」


のぞむ
「ちなみに、博士の名前って?」


しょうこ
「あ、それ、わたしも知りたいです。」


博士
「・・・・・・・・・太郎じゃ。


のぞむ
「えっ、聞こえないよ。」


博士
太郎じゃよ! どうせ『葉加瀬太郎』だ、ヒャッヒャッヒャッってバカにするんじゃろう!言っておくがの、葉加瀬太郎よりわしのが年上じゃかんな!それに葉加瀬太郎は結婚してから髙田太郎じゃからな!わしは九人きょうだいの長男なんじゃ!きょうだいを背負う立派な名前なんじゃ!!」


のぞむ・みらい・しょうこ
「・・・・・・・・・」


のぞむ
「博士、大丈夫だよ。誰も博士の名前をバカになんかしないよ。みんな博士のことは尊敬してるし、博士はぼくたちの博士だもの。」


みらい
「そうよ。名前に誇りを持っていたらそれでいいじゃない。博士はとても立派な大人よ。」


しょうこ
「昭和っぽくて素敵な名前です。」


博士
「ありがとう、みんな。ありがとう(涙)」


のぞむ
「で、名字はなんなの?ここ、表札もないから知らなかったや。」


博士
「・・・じゃから、『博士』じゃ。博士太郎。」


のぞむ・みらい・しょうこ
!?


のぞむ
「じゃ、ぼくたち博士のことずっと呼び捨てに・・・・・・・・・」


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