posted on 2013年9月17日火曜日

台風一家




のぞむ
「博士~、台風大丈夫だった?」


博士
「おぉ、のぞむくんこそ大丈夫じゃったか?わしの家はホラ、いろんな発明品があるから、台風だって平気じゃぞい。」


のぞむ
「うゎ~、なんか凄そう。で、どんな発明品があるのさ。」


博士
「まず、台風の風に負けないように家から逆に風を送ってやる大型扇風機。屋根全面に四方八方じゃ。

  それから、浸水に備えて部屋ごとに床が浮くようになっちょる。お風呂やトイレは無理じゃがな。

  更には、停電に備えて風車や浸水してきた水で回る水車もあるし、ハムスターも回し車を回しておる。」


のぞむ
「なんだか小学生みたいな発想もあるけど、大丈夫だったみたいだね。

  それにしても台風といい、ゲリラ豪雨とか竜巻とか、最近の天気は過激になってるね。猛暑もトンデモなかったし。」


博士
「そうじゃな。昔とは明らかに変わっておるな。昔から自然災害はあるが、ここ数年は規格外の災害が増えているな。」


のぞむ
「昔よりテレビだのネットだのでいろんな情報を目にするから多く感じてる、とかはないの?」


博士
「それも確かにあるかもしれんが、昔より治水にしても防災レベルは上がっているはずなのに、それを超える被害が出ていることからも、やはり気象の異常レベルもまた上がっていると思うぞ。」


のぞむ
「昔は台風なんか来ると小さい近くの川なんかもすぐに溢れたんでしょ。田んぼと道がつながっちゃったり。」


博士
「そうじゃな。今では逆に小さい氾濫は無くなったが、その分大きな河川が氾濫したときの被害が大きくなっているのかもしれん。この2~30年で街が様変わりしたようなところはそれにともない治水もよくなったろうが、昔から氾濫しやすい、土砂崩れしやすい土地も残っておるからの。」


のぞむ
「震災を経て災害に対する意識も変わってきたよね。普段被害の少ない地域でも何が起きるか分からないし。」


博士
「うむ。地震などは一般人が予測するのは難しいが、台風や大雨などは事前に情報もあるし、今後はそうして備えながらが当たり前になるんじゃな。」


のぞむ
「ねぇ、博士。台風って『熱帯低気圧』だよね?ゲリラ豪雨なんかは熱帯のスコールみたいだし、日本が熱帯になっちゃったら、普通の低気圧が台風並みになるってこと?」


博士
「理屈で言えばそうなってしまうな。地球温暖化を含めて世界各地の異常気象もますます深刻になる一方じゃな。」


のぞむ
「原発もそうかもしれないけど、やっぱり人間が無理に拡げてきた領域が自然に歪みを与えているのかな?」


博士
「人間がやって来たことが自然を苦しめ、しいては人間自身を苦しめている。なんともやりきれんな。

  これまでのように崩れそうな危ういバランスを保ちながらも成長・発展を目指していくのか、棄てるものは棄ててあるものでやっていく方向へ転換していくのか、人類と地球の有るべき姿が不明瞭じゃな。」


のぞむ
「成長とか発展って言葉がプラスの意味にしか捉えられていない現状が物語っちゃってるんじゃないかな?

  成長するのはいいことだ、成長しないとダメなんだ、って正しいことなんだろうけどさ、青天井でそれが出来るかっていうと、どこかに無理が来るよね。確かに人間や生命の可能性ってのは無限だと思うけど、全てが無限に成長する訳じゃなくて、自然界とか何か大きなバランスの中で保たれてこそなんじゃないかな。」


博士
「むむ、ずいぶん話が大きく飛んできおったな。何が言いたいのじゃ?」


のぞむ
「ゴメンゴメン。自分のことに重ね過ぎちゃったよ。成長したくないって訳じゃなくて、成長する人しない人、成長するときしないとき、いろいろあっていいと思うんだ。現状維持も出来ないのに成長を求めても、自分にだって周りにだって悪影響な場合もあるって思うんだ。

  だから、って訳じゃないけど、人類対地球として、これからしばらくは現状維持に努めますって誰か言っちゃえばいいのに。国として、社会として、企業として、個人として、成長したい人はどんどんすればいい。けど、今はいいかなって人に押し付けないで欲しいんだ。むしろ、やっぱり成長っていいもんだ、自分もしてみたいって思わせるような成長を目指して欲しいんだ。」


博士
「ふむ、だいふ病んでいたようじゃの、のぞむくん。そのとおりじゃよ。吐き出して少しはスッキリしたかな?」


のぞむ
「ごめんなさい、ありがとう、博士。

  で、なんの話だっけ?台風一家のお父さんはどれ?って話?」


博士
「スッキリし過ぎじゃ!!」


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